11.27.13:44
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09.22.11:19
メジャーデビュー ~ウガンダ~
ある日、KCCの練習を終えて例のラブホテルに帰ろうとすると、なんだか体の節々が変な感じなのよ。なんか熱が出る前兆みたいな感じってあるじゃん。あの感覚。
よし、今日は早く寝よう。
するとどうでしょう。完全に熱っぽいんだよ。ってゆーか絶対熱があるんだよ。
ナメック星でベジータはスカウターを捨てた。
ボクは体温計なんて持ってなくても熱があるかどうかなんて分るさ。
でもウガンダに行くっつーのになんも準備してないボクは風邪薬なんてもんだって持ってない。もちろん仙豆だって。
唯一のボクの武器はポカリスウェット。これを薬だと思えばきっと治る。信じる者は救われる。
明朝。
救われた。ナイスポカリ!不思議と熱は下がってたんだよ。
油断禁物、今日は早く寝よう。
マヤンジャ・ジャクソンの”フィジカルはサッカーを制す”の信念のもと、徹底した走り込みをやらされたのもあって早々とボクは床につき、早々と寝入ったんだよ。
いやぁ、キタね。セカンドウェーブ。
夜中に目が覚めると、熱なんてもんじゃないよ。
歯がガタガタ言うほどの寒気がするの。
信じられる?赤道直下のアフリカで毛布かぶっても寒いなんて。ボクは確信したね。
”コレは絶対に霊の仕業だ”
目を開けたら見ちゃいけないもんが見えちゃうと思って目を閉じながら強い信念ではじき返そうとしたのよ。
”ああああああああ。”
気を高めて、ボクは眠りについた。・・・のも束の間、今度は熱が出てきた。
そうか、霊の仕業じゃなかったんだ。
うん、病院に行こう。
予想通りの告知。
キミ、マラリアダヨ。
ウガンダについて2ヶ月。
マラリアというメジャーデビューに成功。
09.20.11:02
国際移籍証明書 ~ウガンダ~
早く契約してお金が欲しいよ。
”世の中お金じゃないよ”
なんて言うのは日本人が金持ちだからよ。ビンボー人からしてみたら何よりもまずお金が欲しいのよ。飯も食えねえし、移動もできねえし、屁も出ねえ。
まずは屁でもいいから出したいし、契約して給料が欲しい。
プレーは問題ないんだよ。あとはITCってやつ。コレは海外でやる選手はみんな必要な書類なんだ。何かっていうとね、国をまたいで移籍するでしょ。その移籍の証明書みたいなもんよ。今回のボクの場合はバングラデシュのチームからウガンダのチームへの移籍だから、バングラデシュのサッカー協会とウガンダのサッカー協会でのやり取りになるわけ。
で、チームからウガンダサッカー協会に依頼しなきゃいけないわけよ。
その手順をちゃんと踏んでくれてるのかな?
KCCのマネージャーに何回言っても”Tommrow”と”No probrem”。
思えば今までの海外生活、この2つの単語よく聞くな。
たぶん”Hello”より多く聞いてると思う。ってことは1日に何回も聞いてるんだよね。
”給料は?”
”Tommorow”
”バスは来るのか?”
”No problem”
明日の見えない奴らからのTommorow。
問題しかないような奴からのNo problem。
ルーティン作業です。
国全体が工場ですよ。
開幕までもうすぐとなってるこの時期にボクはITCをめぐって足踏み状態になってたんだ。
TommorowでNo problemらしいよ。
ボクには、あおることしかできない・・・
09.04.13:15
お引越し③ ~ウガンダ~
忘れてるでしょ?
http://yutaka14.blog.shinobi.jp/Date/20080803/1/
http://yutaka14.blog.shinobi.jp/Date/20080806/1/
これ読んで思い出して。
ってことで、よーこちゃんちに居候することになったんだけど、今までのパラサイト先と違って今回は夫婦。向こうさんの夜のペッティング事情を考慮すると長居は出来ねえわな。
となりゃ、腹を決めて宿を探しますか。
よーこちゃんの旦那のサミーも協力してくれるって言ってるし。
でもね、家的なもんを借りちゃうとベッドやら何やらも買わなきゃいけないし安いとこだとかなりの昔話館。きっとそのまま現地人になっちゃうことは間違いないの。だからと言って綺麗なアパートはお高くとまってやがるから無理なわけ。
で、ボクのお財布とニーズが合致するのはやっぱりゲストハウスなんだよね。
よし、探そうじゃないか。理想のゲストハウス。
って簡単に見つかるならとっくに住んどるよ。あちらこちらを右往左往。
探すこと半日。首都カンパラの端っこの方だと思うんだけど1件素敵な物件があったの。
何が素敵って、近くにスラム街があるでしょ。
1階がバーになってていつまでも音楽が止むことがないでしょ。
そのバーで意気投合した男女は2階のその宿に泊まるでしょ。
ま、子供を育てるには極めて悪な環境だよね。
よかったよ。ボクがもう大人で。迷うことなくオーナーに言ったよ。
”ここで1番安い部屋を出してくれ。3ヶ月は契約するから安くしてくれ。”
なんとか80㌦/1ヵ月程度になったから部屋に案内してもらったの。ベッドは1人用のが2個あって余分なスペースなし(おそらく6畳)。でもトイレと水シャワー完備。ビンボーど真ん中のボクに月80㌦はちょいきびしめだけど、野宿よりはましさ。
”よし、ここに決めた。”
と、オーナーに言って薄暗いその部屋の電気をパチッとつけた瞬間焦ったね。
・・・部屋の電気が紅いの。
そうか、バーで意気投合したやつらが泊まるんだもんね。この部屋はその準備してたんだね。これからラブホテルに3ヶ月住むんだ、ボク・・・
オシッコでもしようかと思ってトイレの電気をつけたのね。
賢明な方はこの後の展開が読めると思うけど、そうなの。
・・・トイレの電気は碧いの。
とりあえずオーナーには電気の色を普通にしてくれって頭を垂れたな。
ま、なんにせよボクはラブホテルとはいえ、自分の住みかを手に入れたよ。
08.06.10:02
お引越し② ~ウガンダ~
ま、自分のことはさておいてるワケだけど。
さて、そんな日本人はウガンダにも在籍してるのよ。
青年海外協力隊、大使館関係がメインの中、ごく稀なタイプがいたのよ。
[ウガンダ人と結婚]
ボクがものすごくお世話になったお友達なんだけどよーこちゃんとサミーってのが住んでたのね。なんかスゲーよね。ウガンダ人と結婚してウガンダに住むって。ボクは友達として結構尊敬してたね。
って言ったら、サッカーやりにウガンダに来るほうがスゲーって互いにリスペクトしあって、そして慰めあってたんだ。
ほいでね、ボクがヤバいと思ってマネージャーのセカンドハウスを引っ越そうと思ってよーこちゃんに相談したのよ。
良かった・・・本当に良かったよ。多少の間なら泊めてくれるって。
お互いに口には出さずとも夜の夫婦生活を覗かないっていう約束でボクは泊めてくれることになったんだ。
善は急げ。
その日の練習は午前中。練習が終わったら速攻セカンドハウスに行って荷物がなくなってないかチェック。おそらく何にもなくなってなかったからボクはセカンドハウスを後にしたの。
部屋を出る時にボクの視界に入ってきたのは、先日投げつけられて殺されたゴキブリの死骸。
ゴメンね。
ボクがいたずらにココに来なければあんな無残に殺されなくてすんだのに。
悪夢を振り払うかのようにバスに乗り首都に向かったの。初めてウガンダに来た時みたいにでかいスーツケースをひざに抱えて。
なんか情けなかったな。
調子に乗ってウガンダに来たものの、人を頼りまくってるこの生活。しかもそれを受け入れてくれるよーこちゃん。
首都についてバイクタクシーでよーこちゃんの家に向かいながら、ちぃと半ベソかいちゃったよ。
そんなボクの姿は、バイクの二ケツなのにスーツケースを抱きかかえてる。
誠に情けない。
実に情けない。
ここから1週間、タイ→バングラデシュとやってきた”パラサイト生活”で過ごすことになるんだ。
08.03.15:07
お引越し ~ウガンダ~
相変わらず、”朝、ジョンがゲストハウスに来るのを待つ”→”2時間遅れor来なくて不安”→”引きこもる”→”KCCで練習”のサイクルで生活してたのよ。
ある日のこと。
本日は紅白戦。珍しくジョンが練習中に顔を出したの。そしてボクのことを呼び出すわけよ。”とうとう契約書にサインしちゃうか!?”
んなワケなく、この呼び出しは凶と出る。
なんかね、マネージャーさんが毎日毎日ボクのゲストハウスのお金を払うのが辛いんだって。
そりゃそうだよね。マネージャーさんは今までよく頑張ったよ。
ってことでお引越しよ。
なんかマネージャーさんのセカンドハウスに住ませてくれるらしいのよ。
イヒッ!超ラッキー。
と、思ったのも最初だけよ。
マネージャーさんのセカンドハウスなんていうから結構いいとこ住んでると思ったんだけど、練習後にジョンに連れられてビツクリよ。
まずね、遠い。町の名前は既に忘れたけど、とにかく遠い。そして後から知ったけど、結構マラリアが流行ってるらしい地域らしいのよ。
あ、そうなの。
ウガンダってマラリアがあるのね。
でよ、真っ暗になってからセカンドハウスについて更にビツクリよ。
今となっちゃあ当たり前と捉えて生活できるけど、水がひかれてないのよ。遠くの井戸から汲んでくるタイプなの。あまり聞かないタイプでしょ?ボクもその時初めて聞いたよ。
そしてトイレに関しちゃ小さなボックスの床に四角い穴が空いてるだけよ。下からゴキブる時もしばしば。
でも人間の順応性って恐ろしいもんで、その数ヶ月後に違うチームではブリブリ出来るようになっちゃうんだもん。
でも、当時はまだまだボクも日本人。順応しちゃイカンと必死に現実を受け入れまいと努力したよ。
”ここがお前の部屋だよ。”
部屋に入ると白い壁に、大きな大きなゴキブリがウェルカムしてんだよね。白い壁に、でっかい黒いゴキブリ。隣にゃ、黒人。その黒人がウェルカムしてるゴキブリを素手で掴んで壁にたたきつけて殺すのよ。
”コレでお前の部屋は大丈夫。”
親指立ててウィンクしてるけど、完全に魔族の戦い方だよ。
で、ベッドを見たら蚊帳はあるのよ。
マラリアになりたくないからここは重要。マラリアって蚊から媒介するもんなのね。だから蚊帳ってのは生命線でもあるわけよ。
・・・でもさ、その蚊帳のサイズが全然合ってねえのよ。完全に掛け布団になってて刺されまくってるわけ。
更にはドアよ。
カギが付いてねえどころじゃなく、ドアがしまんねーのよ。同じセカンドハウスで住む人間はコチラ↓
ルワンダから移籍してきたウガンダ人 1人
ケニア人選手 1人
ウガンダ人のKCCテスト生 1人
知らない人 2人
ウガンダ人ボクサー 1人
ぜってー、ボクの荷物ヤバいだろ。
世の中の人間はボクのことをアグレッシブだとかストイックだとか言ってくれるのよ。でもね、そのセカンドハウスに引っ越した次の日に、ボクはもう1度引っ越したんだ。
まだまだ坊ちゃんなボクには耐えれなかった・・・