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タイ、バングラデシュ、ウガンダとサッカーで渡り歩いてきた日々を振り返ったり最近のボヤキなどを綴ります

11.27.15:47

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07.27.12:08

カンニング ~ウガンダ~

新しくKCCにコーチとしてやってきたマヤンジャ・ジャクソン。現役時代はアフリカの強豪アル・アハリでプレーしてたという。
そんな彼はガッツリなウガンダ人なのよ。そのガッツリなウガンダ人の主な特徴ってのはこんな感じ。

・パワーが好き。
・話が長い。
・フィジカルトレーニングが好き。

なのよ。
で、このガッツリなジャクソンはガッツリなだけにガッツリ話が長いのよ。普通に練習前に30分くらい話すもん。
で、練習に入るじゃん。
で、終わる時にも話すじゃん。練習が終わるのがすんげえ遅えのよ。

そんなジャクソンが来て3日目くらいだったかな。まずはみんなを集めて練習前にミーティングを始めるの。このミーティングってのはグランドでね。赤道直下の太陽の下、ジャクソンの長い話を聞くことになったのよ。きっとフィジカルトレーニングも含まれてるんだろうね、すごく熱いよ。

でさ、なんかA4のメモ書きみたいなもんを見ながら、各ポジションの働きを説明してるのよ。コーチによっては気づいたことをメモを取ったりして、後で選手に伝えるタイプがいるのよ。メモを見ながら話してるから、ジャクソンもそんなタイプかなーって思って聞いてるフリしてたの。ウガンダ語(ルガンダ語)わかんねえし。

たまに遠い目をしながら、”俺っていいこと言うなぁ”的な頷きをして語る語る。

なんかね、隣に座ってた奴が教えてくれたんだけど、FWはどういう働きをしなくてはいけないか、MFの働きはこうだ、みたいな事を説明してたらしいのよ。各ポジションの世界的に有名なプレーヤーを例に出して説明してたのよ。
MFだったらロナウジーニョはこうでみたいな。

でさ、説明してる時に神風が吹いたの。
その風が、ジャクソンのA4の紙を飛ばしたの。

まさかですよ。
完全に虚を突かれたよ。
そのA4の紙なんだけどさ、なんかのインターネットのHPのコピーなんだよね。

お前の戦術じゃないのかよ・・・

戦術をネットで調べやがった・・・

A4の紙の中央に載っていたロナウジーニョの顔は、心なしか普段よりにこやかだったな。
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07.11.10:41

新聞 ~ウガンダ~

KCCの紅白戦やら練習試合が始まってしばらく。
日に日にユタカは干されてます。試合のたびに端っこの個人練習組に参加になってしまった。

サポーターはロバートにやたら怒りをぶつけてくれるんだけどね。所詮サポーター、ボクが試合に出ることはほとんどなかったよ。結果は出してたはずなのになぁ・・・
やっぱ”金くれ”を断ったからかね。

でも、そんな中に一筋の光が。
練習会場に行くのに、みんなで町の真ん中に集まってチームのバスで練習に向かうのね。
で、いつも通り時間通りに来ないバスを、町中にあふれてるコウノトリと一緒に待ってたら、知らん奴がボクに寄ってきたのよ。
”お前、KCCに入ったんだろ?”
おっ、ちょっと有名になってきたじゃん。

な~んて思ってたら、近づいてきた奴の右手にはニュースペーパーが。その新聞にはボクが載ってるじゃないの。

9e88d2e6.jpg【KCC日本人獲得】みたいなこと書いてあんのね。
現地語で書かれてるから実際は現地人に読んでもらってたんだけどね。

・・・まだ契約してないし干されてるのに。




でも嬉しいもんだね。
1面全体の右下の部分にこう小さく載ってたんだけど、ピックアップされて記事を書いてもらうなんて嬉しいもんだよ。
そういえば練習中に1度、記者さんがボクのところにきたんだよね。名前とか色々聞かれてさ。

”AIHARA YUTAKA”ってちゃんと言ったのに新聞では”AJARA YUTAKA”ってなんとなくイスラムチックな名前に書き換えられてたけど・・・

そしてその日、二筋目の光が。
ロバート解任。

リーグが始まる前になんと解任ですよ。
ってゆーか元々、用具係だったらしいけど監督が来ないからコーチに立候補しちゃったんだって。

・・・嗚呼、素敵だね、アフリカって。

そしてやってきたはアフリカの強豪、エジプトの『アル・アハリ』でプレーしていたというキャリアを持つ男、”マヤンジャ・ジャクソン”。完全にウガンダ人。
ダウンタウンがコントで黒人を演じる時に使う名前っぽいそのマヤンジャ・ジャクソンの口癖は”モアパワー、モアパワー!”。

更なるフィジカルトレーニングがボクを待っていた。

07.07.11:30

紅白戦 ~ウガンダ~

まだまだフィジカルの日々が続いております。
走って飛んで、飛んでは走って。

そんな生活に光明の光が。

とうとう紅白戦やら練習試合が舞い込んできたよ。

まずは紅白戦。
”お前は何番だ?”コーチのロバートが言うのよ。向こうは各ポジションの事を番号で呼ぶの。でも、ボクはそんなことは知らないのね。背番号の事かと思って”14だよ。”って言ったら”ベンチでいいのか?”だって。
あぶねえ、そんな理由でベンチスタートはいただけねえ。

さすがKCCはビッグクラブとあって練習の時からサポーターが結構見に来るのね。って言っても走ってるボク等の姿を見て何がおもしろいのか分らないけど。
でも、そのお陰でボクはそこら辺でちょっと知られてきたのよ。”なんか白いのがKCCに入ったらしい”って。

で、紅白戦が始まるとみんなボクの名前を呼んでくれるのよ。
”TAKA! TAKA!!”って。

・・・悲しいことに、韓国人として認知されてたけど。
パク・チ・ソンのせいです。

さて、紅白戦も始まり、自分で言うのも体キレてます。サイドハーフで出場。始まってすぐにスルーパスを出したのよ。そしたらサポーターがすげえ盛り上がるもんだから気分がよくなってちょっと魅せる技とか出しっちゃって。
紅白戦なのになんか異様な盛り上がりなのよ。ボクは一気にKCCでサポーターの人気を獲得したの。

その後、フィジカルトレーニングとテストマッチを何度か繰り返し、チームメイトやコーチの信頼も得て、先発出場出来るようになって、アシストも重ねていったの。

そんなある日、ロバートが練習前にボクを呼び出してこっそり言うのよ。
”うちの母親が体調悪いんだ。お金をくれないか。”

・・・どうやらこの国の”母親”はすぐに体を壊すらしい。

ボクはキッパリ断ったの。
ボクは日本人だけどお金を持ってない日本人なんだよ。

くそっ!
チクショー!!

次の日から試合に出れなくなった・・・
この日からボクの氷河期が始まる。

07.03.12:41

はじめましてKCC ~ウガンダ~

やっとそれらしくなってきたよ。
なんかよく分からんKCCってチームのサテライト的なところで練習参加してたけど、ようやく本物のKCCの練習に参加できたよ。
グランドに連れて行かれてコーチのロバートを紹介してもらった。もの凄くカバに似たロバートはボクと優しく握手。

”チルンジ オクサンガ(初めまして)。ンゼ エリンニャ リャンゲーゼ TAKA(ボクはタカって言います。)”
*外国でボクはタカって名前になってます。

これだけ覚えたっていう、ルガンダ語の挨拶にロバートはとっても気を良くしたようで、”しゃべれるのか?”なんてニコニコしながらボクの手を放そうとはしなかった。
彼がイケメン、ボクが乙女なら嬉しいんだろうけど、そこはロバート。東洋人にニコニコ詰め寄る黒いカバ、そんな絵面は汚すぎる。頭をかくフリして握手を引き離したよ。

さてさて練習開始。
さっそく紅白戦開始。中盤でゲームメイクをして、バンバンスルーパスを放り込んで、時には自分で切れ込んじゃって点も取っちゃった!!!

・・・なんて妄想をしながら、ひたすらフィジカルトレーニング。

フィジカルトレーニングやったけどなんかスゲエ疲れるんだよね。
ウガンダは1000mっていう高地にあるから心なしか疲れが早い気がするんだけど、それは栄養が足りてないことだと気付くのにそう時間はかからなかったよ。


練習開始とか言ってるけどウガンダも最初はフィジカルトレーニングばっかりだよ。事情を聞くと、オフ開けってのもあるんだけど、去年の監督がケニア人だったらしいんだけど自分のお国に帰って、シーズンが始まってるのに戻って来ねえらしい。
後で身をもって知ったけど、こんなのはよくあることなんだ。日本のコンビニの数くらいこんな事はよくあるの。

で、ロバートは指導という言葉とコーチという言葉が繋がっているとは思ってない男らしく、ひたすらグランドを右往左往、時には斜めに走らすのよ。

あ、そうそう。重たく書くと辛くなるからサラッと書かせてもらうけど、この国の練習の特徴としてはね・・・基本的に水がない。
カラッカラですよ、身も心も。

水もなく、ひたすら2時間走ったね。
ようやく、ようやくボールが出てきた。フィジカルトレーニングでアピールって難しいのよ。やっとボールでボクの技術をアピールできると思ったら、ボールを蹴ってそれを追っかけるってもんだった。

犬です。
完全に犬です。

犬は楽しくやってるんだろうけど、こっちは苦しさ以外に感情が見当たらないよ。唯一このトレーニングが報われるのは、こうやってネタにして笑ってもらうくらいかな。

たった今、報われました。

長い長いフィジカルトレーニングが終わって大の字になって固まってるボクにチームメイトのボンゴレが寄ってきて、”大丈夫か?”なんて言って親切にスパイクの紐を解いてくれたの。
黒人好きだな。基本的に優しい良い奴らなんだよ。ノリだって最高だし。

で、ボクの靴ひもを解いたボンゴレ。
Thank you! お礼を言うボク。

ボンゴレ一言。

”良い靴だな。くれ。”

・・・

・・・

さっきの優しいって言葉、返せ。
でも、ストレートすぎて逆に笑えるよね。
程無くしてボンゴレはボクのよき理解者になっていったよ。

06.10.12:18

今度こそ初練習 ~ウガンダ~

練習は来週の月曜日と言われてから24×7時間待ちました。
更に、迎えに来てくれるジョンを2時間待ちました。

お待ちどうさま、ようやく初練習です。

迎えにきたジョンの車には、ケニア人、ルワンダでプレーしてたっていうウガンダ人、ウガンダ人が乗っていたの。ややこしいね、顔の違いもむづかしいし。
でも、ケニア人は気さくに話しかけてきたよ。
”ジン・スン・パク(パク・チソンの事)知ってるか?”
いいよ、別に。アナタ達からしたら、韓国人も日本人も中国人もワケわからんよね。ボクだってウガンダ人とアナタの区別つきませんから。
”ああ、ジン・スン・パクね、知ってるよ。”
まるで、友達かのように答えてやったよ。いや、嘘は言ってないよ。知ってるもん。
ただ、向こうがボクを知らないだけ。


ジョンを2時間待った割には車に乗ると、10分ほどでグランドについてしまってなんか複雑な気分になったけど、ようやく誰かにプレーをアピールできることに、多少興奮してたんだよ。
そんなボクを見たとたんチームの奴が声をかけてきたよ。

”そのスパイク、くれ。”
”なんだその手首に巻いてるやつ(ミザンガの事)、くれ。”

いきなり2件も営業さんがボクに回ってきたよ。興奮急降下。
ボクだって、もう慣れたもんですよ。こういう奴らは信用できん。だいたい、今スパイクあげちゃったらボクぁ何を履いて練習すればいいのさ。
笑顔で一蹴、”Next Time”。激しく断ると嫌われちゃうから・・・

奴らは津波のように押し寄せてくる。
次の奴はこうだ。

”ジン・スン・パク知ってるか?”

こいつもだ。
時代は変わったよね。ほんの数年前までアジア人と言えば中田ヒデだったのにマンUにパク・チソンが行った途端にマジカルチェンジよ。ボクはこの国では韓国人として見られることになるようだ。
ま、街を歩けば子供達から”ムズング(白人)”って呼ばれてるし今更、日本人だってみんなに説明すんのもめんどいし、そっとしておいたけどね。

さて、練習開始。
って言っても軽い練習だったよ。パスゲームをやってから紅白戦。
黒人だってパスゲームぐらい出来るよ。・・・ちょっとだけどね。
そんな中、ボクは輝けたよ。丁寧なパスを出せる選手があまりいなかったから、ボクのパスは紅白戦では特に歓ばれたよ。外しまくりだけどね。
”Hey Yutaka, Give me more.”
”OK OK. このヤロウ、いつ決めんだよ。”
笑顔と日本語で万事オッケー。

で、ここでおめでた。
紅白戦ではありますが、ユタカ、ウガンダ初ゴォォォォール!!!

いい日だ、とてもいい日だ。
終わってから監督みたいな人に”良いプレーだったよ。きっとK.C.Cで契約できるよ。”って言ってもらえたんだ。素直にうれしかったよ。
よぉぉぉぉく考えたら、K.C.Cのマネージャーに契約しようなんて言われたけど、プレーしたの今日が初めてだったもんな。

進む時は一気だね。この3日後に、K.C.Cの練習が始まるのでした。
うまくいきますように☆

*本日の結果 : 中盤で出場、1ゴール2アシスト
            スパイクくれ 1ポイント
            ミサンガくれ 1ポイント