11.27.12:49
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06.18.13:25
賭けサッカーとビザ ~タイ~
気付けば1ヶ月。
どうやらタイの国内でタイの観光ビザは取れないらしい。サッカー仲間の、ツアーリストをやってるオーウェン君(完全にタイ人、髪型だけ似てる)が教えてくれたの。
もうすぐで、噂のオーバーステイってヤツ?あの黒人が日本でよくやるアレよ、アレ。まあ1ヶ月も経てば色も黒くなるし多少は黒人に近づいた感はあったけどね。
もうこの国に来て何回目だろう?
”どうしよ”がボクを襲ってきたんだよ。そんな”どうしよ”は順応性の早いボクは既にタイ化しており、”開き直り”で、あっさり削除。現実逃避はエム君からのお墨付き。
完全に1ヶ月が経った頃、まだボクの中に眠ってた”ちゃんとしなきゃ”が覚醒しオーウェンに相談したんだよ。
”陸路でカンボジアに行ってこい、国境から1回出ちゃえばまた1ヶ月のビザがもらえるぞ。”そっか、何も調べてこなかったボクがいけないのね。
暇なティグちゃんも一緒に来てくれるってことで日曜日に行こうってことになってたのよ。
・・・
・・・
エムだ。
またエムだよ。
その日曜日に賭けサッカーがあるって言ってきやがった。ハッキリ言うけど今ボクが欲しいのはお金じゃなく、この国に住む権利、ビザよビザ。
お金で買えない価値があるから。
う~ん、ボクって弱いね。
賭けサッカーに行っちゃった。
違うんだよ。友情に弱いボクは、エムの”お前のビザの事はみんな心配してる。だから明日、みんなでカンボジアに行けばいい。そのバス代をサッカーで稼ごうよ。”なんて言われたらなんか嬉しくってサッカー頑張ろうかと思っちゃうじゃない。
バス代って確か、300~400バーツくらいだったかな。日本円で1000円くらいさ。賭けサッカー1試合で稼ぐのは絶対無理なのよ。でも、嬉しくって試合に行っちゃった。
ダイジョブ、後悔しないから。
またまた山奥へと向かう荷台に乗り込み試合をするわけよ。
ウォーミングアップ禁止という過酷な戦術を飲み込み、ボクはピッチに立った。木で出来たゴールを求め、草と乾いた土のグランドを走り回った。
その結果、ボクの1ゴール1アシストの活躍で2-0で我らがチーム・エムが勝利し、掛け金をいただけたんだ。
帰りの荷台でテンション上がりまくりだよ。
試合の事を話しながら、明日のカンボジアの事も話したの。あいつらは、完全に遠足気分で、目的はボクのビザだってことは忘れてる感はあったけど、なんにせよ気分が良い。このまま、夜の宴会に流れて行ったんだ。
夜の宴会では”ユタカのビザを助けるツアー”と題されたエム達の遠足の話題でもちきりだよ。メンバーはユタカ・ティグちゃん・エム・ナガタ(タイ人)・ジョグの5人。1番ティントン(イカレポンチ)なナガタは浮かれまくり。試合で活躍してもいないのに我が物顔で酒を浴びるのよ。
宴もたけなわで解散。
明日は朝6時に出発だから6時前にバス停集合。みなさん、遅れないようにね。
次の日。
ティグちゃんと集合場所に行ったの。
おおっ、集合してるじゃん。みんななんだかんだで助けてくれるんだな。
って思ったボクが馬鹿だった。
エムが言うのよ。
”昨日の宴で、お金を使っちまった。行く金がない。だからユタカが俺らの分を出してくれ。”
お荷物でしかないよ。
完全にコイツらお荷物だ。
なんか反省してる風にエム・ナガタ・ジョグって3人並んでるけど、あいつらに伝わったかな?朝1で最大のガッカリ。ギザとかマンモスとかそんな言葉では表しきれないほどのガッカリ。
そしてこいつらの旅費も出してる自分にもガッカリ。
だって、カンボジアなんてスゲエ不安だったんだもん。
先日の”ダイジョブ、後悔しないから”だけど、速攻後悔。
行き帰りのバスの中、ティグちゃんの隣に座って、一生懸命ティグちゃんを口説いてる、妻子持ちのエムの後ろに座ってたボク。
グーで後頭部を殴ってやろうかと、旅の道中ずーーーーっと考えてたよ。
06.13.12:41
賭けサッカー ~タイ~
未だに進展なし。と、いうよりエムにお金を食いつぶされそうになってるから後退してるのかもしれない。
”ニホンジン、オカネモチ。”
ふざけんな!ボクに当時の収入はなく、持って行ったお金がなくなれば困るって言うか、帰国か亡命の選択になると思ってたのね。でも、タイでプロサッカー選手になるってみんなに言っちゃったからオメオメ帰るのも恥ずかしいじゃん。
じゃあさ、お金を稼ぎましょう。
簡単に言ったけど、本当に就職してしまったら違うロードに乗ってしまいそこはもう第2章。ただ単に日本になじめない奴になってしまう。だからってバイトだってなかなか雇ってもらえないよ。
言葉通じねえんだもん・・・
そこでイイ話が舞い降りてきたよ。
【賭けサッカー】
お金の匂いがプンプンするでしょ。なにやら試合に勝てばお金がもらえるんだって。サッカーが出来て、お金が手に入るなんて言われたら参加するしかないでしょ。
・・・たとえソレがエムからの呼び出しでも。
エムは使える選手が欲しい。ボクはお金が欲しい。和解はいとも容易く。
時間になったらスポンサーが迎えが来る。あだ名はそのままスポンサーらしいその男が何物かは知らないが、迎えが来た。
・・・こんな風に荷台に詰められて山へと向かうなんて聞いてないよぉ。
向こうじゃ当たり前の景色だけど、当時のボクは自分とドナドナの違いが見つからなかった。あの小さいスペースに野郎10人程がすし詰めならぬ牛詰めに。出発して10分ほどでカラオケ大会に変わっていくその荷台で、0930(オクサマ)の”山田君”を誤魔化しながら歌うしか戦う術がなかった。
1時間ほど揺られ、ケツの感覚も麻痺してきたところでようやくその山へ着いた。既に前の試合が質素に行われてて、見た感じ、ボクのヒーローは確約されたようなレベルだった。
ふん、日本のビンボー人なめんなよ!とばかりにアップでショータイム。頭の上にボールを乗っけたり、リフティングの技を相手の奴らに見せ付けたやったのよ。
”勝てるワケねえよ・・・”
プライドを捨てた代償として”見極めること”が出来るようになった敵は、戦わずして各々の元チャリで山から去って行っちゃったんだ。
この場合、我々が不戦勝となるわけがなく無効試合となり、ボクはお金も試合も手にすることが出来なかった。
いやぁ、怒られたね。”これからはアップすんなっ!!”って指示が特別に出されちゃうし。
ボクの尊敬する人が言ってた、”サッカー巧い奴は嫌われない”って言葉。
あれって嘘かも。
結局、試合ができず、行きと同じようにケツの感覚がなくなるまで、荷台でカラオケ大会をして、ウルフルズの”借金大王”を歌いながら帰って行ったんだ。
お金を手することもなく、試合をすることもなく、車の荷台でひたすら日焼けし、”タイ人っぽさ”だけを手にして。
05.24.12:17
フットサル大会 ~タイ~
タイに住んで2週間も経ちゃ、仲良しグループが出来るもんよ。
それが例のミニゲーム大会のエム達のグループなんだけどね。
そのエムはグループのリーダーみたいな感じなのね。一応、グループ内では1番サッカーが巧いとされているからだろう。
エムは元々、タイの2部リーグでプレーしてたって言ってたけど、ビジュアル的にもプレーにもその片鱗は見られなかったからどこまでホントかは今となっては分からないけど。
今はサッカーのプロデューサーをやってるって言ってたけど、寝てる姿と、サッカーしてる姿と、酒飲んでる姿と、挙句、”ユタカ、金貸してくれ”って言ってる姿しか見ていない。2部リーグの選手のなれの果てといったところだろうか。
そんなエムが、おもむろにフットサル大会を開くとか言いだしたんだよ。
ただプロデューサーなんて言ってもホレ、エムじゃん。グズグズなわけよ。
参加チームを募って8チームのトーナメント方式。
参加8チームから参加費を募って優勝・準優勝チームには賞金。
こんな感じで大会を開く予定だったんだけど、エムってタイ人の中でも群を抜いてダメな部類の人間なのよ。いくつかのミスが出るわけよ。
まずね、集めた参加費の幾らかが、エムの酒代になったの。
いやぁ、エムの嫁は激怒したね。
あ、エムには嫁も子供もいるのよ。だから、”金がないなら酒やめて働けば?”って言ったんだけど、”金がないんだ、飲まずにいられるかっ!!!”だって。
・・・典型的なダメ亭主をボクはタイで拝むことになった。
で、この大会のミスの2つ目。
8チーム中、2チームがエムのチームなの。ってことは参加費を他人から貰うのは6チーム分じゃん。なんか、儲けが出ないでむしろマイナスらしいのよ。優勝してもプラマイ0らしい。
どんなプロデュースよ・・・
エムの奴、なんか参ってたなぁ。8チーム分のユニホーム代もその参加費に含まれてたんだけど、ご存知の通りエムの酒となってるわけだから大会3日前までユニホーム問題に頭を悩ませていたんだよ。
で、いつもの通り、”なあユタカ、金を貸してくれ。”
この状況、短い期間だったけど見飽きたよ。何度も何度も。
でも、今回は違った。ホントにしょうがないって顔でグループみんなでボクにお願いしてきたんだ。”こいつをなんとか助けてやって”みたいに。
エムも言うわけよ。
”ここまでして大会が開けなかったら、みんなに殺されちまうよ。”
・・・むしろ死んでくれ。
思ってはいたけど、最後だぞって貸してやったんだ。どんなフットサル大会になるか見たかったし、フットサルでもいいからボクもガチンコの試合がしたかったから。
なのに、ここでミスの3つ目。エムの口から信じられない言葉が。
”ユタカ、フットサルってどうやるんだ?”
痛い!
これは痛い!
サッカーが小さくなって5人くらいでやるってことくらいしか分からず突き進んじゃったみたいね。
実際に開かれた大会は、ゴールは50cm(縦)×100cm(横)くらいの小さなゴールで、キーパーは無しっていう斬新なものだった。この前の、ミニゲーム大会の方がよっぽどソレっぽかったぞ。
”しょうがないね。フットサルを知らないんだから。”
勘違いしないでね。
この言葉はみんなが言った言葉じゃないよ。
エムが大会中に独り言のように言ってた言葉だよ。大会主催者のエムが。
結局この大会、ボクのチームは準優勝して50バーツ(150円)がボクの手元にきた。そしてエムは”チキショー、儲けが出ないで赤字だ!”とか言ってその晩も赤字に対してと準優勝の打ち上げに対しての、喜怒哀楽の酒を飲むことになったんだよ。
でもさ、ハッキリ言って、エムの赤字じゃない。
俺の赤字だっ!!!
エムとボク等のお話はまだまだ尽きない。
05.05.10:37
小さな大会 ~タイ~
夜は、みんなで路上でメシと飲み。毎晩、上半身裸でウィスキーに潰されてたなぁ。
タイリーグにはまだまだ遠いけどこれはこれで楽しい生活だったよ。
で、毎晩行われるその宴の中心にいる人物、エム。
ある日、コイツが例の小さなコートでミニゲーム大会を開くねんて言い出したのよ。タイランドは賭け事が好きだからちゃんとお金も賭けてやるわけだ。
例の如く、ウィスキーに潰され、吐きながら涙目になったボク。酔っぱらった拍子なのか、それはエムの陰謀なのか、気付けばユベントスのユニホームを着せられていたよ。それと同時にお財布から500バーツ(約1500円)も消えていたのね。
ふぅ、お酒って怖いね。
酔った拍子で参加が決定してしまったミニゲーム大会。
エムは一生懸命下手っちょな英語でボクに戦術を伝えてくるのよ。
”お前は点を取れ!!”
って言われただけだから、戦術っていうより命令ですね。
で、実際に試合が始まったのよ。
すげえよ。
なにがすげえって、シュートしかねえの。ボンッ!ボンッ!!って音とバチッってぶつかる音がやたらと虚しく感じたよ。
よくテレビでサッカーを見てるとボールポゼッションとかって、【チェルシー50%:50%リバプール】みたいのあるじゃん。あのミニゲームの場合の割合を出せと言われればこう答えるしかないね。
【サッカー 45% : 55% ドッジボール】
残念ながら要素としてはドッジボールが優位と思われたね。
あとあとになって分かったっていうか思ったんだけどタイ人っていうのはイングランドのプレミアリーグが好きなのよ。特に、当時はベッカム、オーウェンがいたからマンU、リバプールは日本でいう、えびちゃん&もえちゃんみたいなもんだね。
ごめんね、分かりづらかったら置いてくだけだから無理にでもついてきてね。
でね、そのプレミアリーグを見てサッカーをするのよ。プレミアの選手ってキックが巧いじゃん。綺麗なロングシュートとか滑らかなサイドチェンジがあるわけよ。それに憧れちゃってるんじゃないかな。すごくボールを蹴りたがるんだよ。
で、ミニゲームでそれを実行した結果、ドッジボールになっちゃったってオチですわ。
結局、試合もボクらが負けちゃったんだよね。
あっ、多くぶつけられたとかじゃないよ。ちゃんとサッカーのスコアだよ。
その夜、どっちにしろな宴が始まるんだよ。
もちろん反省会とかじゃないよ。試合に負けて、金もなく、ヤケになったエムのただの現実逃避だよ。
・・・なのに潰れたのはこの日もボク。
お酒って怖いね。
そして財布からは700バーツが知らぬ間に消えていた。
タイって怖いね。
04.30.13:42
ストリートなサッカー ~タイ~
そしていきなり衝撃の告白。
”アノネ、タイニ、プロサッカーリーグナイヨ。”
ぅおっと、ボクの目標がこんな形で崩されるとは。でもね、ティグちゃんってすっごいヒキコモリなの。だからサッカーの事とか知らなかったんだろうね。だって、サッカー協会にお兄ちゃんがいるって奴、日本にいたもん。サッカーリーグがあるって言ってたもん。
いやぁ、薄っすら半べそかきそうになったけど、自分自身の感覚を目いっぱい麻痺させて乗り切ったね。
で、ティグちゃんはヒキコモリだしチームもないからどうしよっか、なんて考えてたらうまいことあるじゃない。ティグちゃんちの真ん前に、小さなコンクリートのフットサルコート。
ここで、仕事帰りの素人さんやらちょっとかじった兄ちゃんやらが夕方からサッカーを始めるのよ。これは入れてもらうしかないでしょ。
でもね、今頃になって気付いたよね。そういえば日本じゃない事。ということは、日本語が使えないってこと。
だけど、ご安心を。英語があるじゃない。世界共通の英語が。英語を喋れないのなんて日本人だけだよ。タイに来る前に、言われた友達の言葉を信じてたんだよね。
タイ人、全く英語しゃべれす・・・
よ~く考えたらご多分にもれずボクも日本人、もちろん英語しゃべれず・・・
どうやらタイ語で勝負するしかないようだ。でもボクは気後れなんてしないさ。
ホレ、向こうだって日本語喋れないじゃん。ギリギリ両成敗。ここでタイ語を喋れるようになれば、一気にボクが優位に立つことは間違いないだろうということで、この日、タイ語を学ぼうと決意。
それでもサッカーって素敵ね。そんなボクでも仲間に入れて、言葉が通じなくても、ボール一つでお友達よ。
そんでもって、ラッキーだったのが当時、イタリアで中田がブレイクしていたことだよね。ボクのトリッキーなプレーに周りで見てた奴らも、大はしゃぎ。”ナカータ!ナカータ。”その日、一日でボクはマントンタイニーって町の小さな有名人になって友達が一気にできたんだ。
でもね、その友達の中の一人、ものスッゴイサッカーが下手で、やたらと胴が長い胡散臭いヒゲを生やした男。その名は”ナガタ”。
ナカタとナガタ。
”ボクラ、一緒ダネ。”
当時、ボクが一番傷ついた一言だったね。
”お前は、きっと言い奴だけど、一緒にしないでね。”ボクの心の声、彼に届くな。